子供の滲出性中耳炎チュービング後遺症について

【質問】突然のメールは失礼と思いましたがどうしたらよいか悩んでおり、メールさせていただきました。ご意見いただければ幸いです。

 私の子供は6才で、3才にアデノイド肥大と診断され、中耳炎を繰り返していました。4才になって悩んだ結果、アデノイドの摘出とチュービング処理を行いました。その後、耳垂れや睡眠中のいびきなどほとんどなくなり、安心していました。5才になってから、チュービングを取ったのですが、鼓膜が再生せず、診断結果は、鼓膜が再生しにくい体質です。と言われました。治療方法として、現状で放置するか、再生手術(何かを移植する?)しか無いと言われました。

 上の子がスイミングスクールに行っており、この子も行かしていたのですがこの病気となり中断しています。親として、このまま放置すべきか手術すべきが悩んでいます。中学生になれば、外来でできる鼓膜再生の治療があるとのことですが、どうして今それができないのでしょうか? 小学生でプールに入れないことをとても悲しく、悩んでいます。医師より、手術をするか、プールに入る際、耳栓と帽子で水の進入を防ぐなどすれば良いと言われました。

 夏場の時期に外来でできる鼓膜再生をしてプールに入ることができないのでしょうか? また、手術をして完全に鼓膜を再生させても、また中耳炎を繰り返すかもしれないと脅かされています。手術は簡単なものなのでしょうか? 危険性があり痛がるのであればしない方がよいのでしょうか?

だらだらと書いてしまいましたが、ご意見いただきたい内容をまとめてみました。

親としてしてやれることはすべてしてやろうと思いますが、どうすることが最良か、ご意見いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

【回答】メール拝見致しました。私共のホームページをご覧下さいまして有り難うございました。さて、ご質問に関してですが、さぞ、ご心配なことと存じます。

 鼓膜切開とかチュービングなどの後遺症として、鼓膜穿孔が残ることは時々有ることです。鼓膜に穿孔があっても、潜水(ダイビングや高飛び込みも含めて)などの水圧が掛かることが無ければ、普通に泳ぐだけならば、うまく耳栓を使うことで、大きな障害は無いと思います。泳いだ後は、耳鼻科でチエックを受けるなどで、注意をして行けば、学校の水泳には殆ど支障が無いと思います。

 鼓膜形成手術に関してですが、その穿孔がどの位置にあるかによって、手術の難易度が大きく変わります。中心性の穿孔ならば、比較的簡単に手術が行えますが、辺縁性の穿孔ですと、ちょっと大変です。私共のHPにも鼓膜形成手術の記事がありますので、お読みになっていると思いますが。とは言っても、6歳ですと、鼓膜が小さいので、手術操作が難しいのです。鼓膜の操作は痛みが強いので、6歳では眠らせないと手術は出来ません。全身麻酔になりますので、最低1日は入院が必要です。

 ひとつ、私の実例をお話致します。それは、5歳の女の子で、鼓膜穿孔も、かなり大きな辺縁性の穿孔でした。お母さんが、フィブリン糊による鼓膜形成手術のことを、聞いてこられ、相談を受けました。水泳をさせたいからというのが動機のようでした。その時に、私がお母さんに言ったのは、「5歳の子供が水泳教室で泳ぐ程度ならば、耳栓でも何とか過ごせます。もう少し、大きくなるまで、せめて2年生くらいになるまで、待ったほうが良いと思いますよ。何故かというと、お子さんの場合は、鼓膜穿孔の位置からも手術が難しいからです。」ということでしたが、しばらくしてから、或る有名病院で手術をして来たが、耳漏が出るからといって来院されました。

 手術を受けた病院は遠距離なので、緊急の場合は近くの私に見せるように手術をした主治医の先生から言われていたようでした。鼓膜を診ると、穿孔が塞がらずに残ってしまったように思われる小さな穴が鼓膜に有り、耳漏が出ておりました。手術は成功しなかったのだと直感しました。残念でした。後3年待ってくれれば良かったのにと思いました。しかし、自分が手術をして、100%成功する保証はありませんが。

 お子さんの場合が、どうなるかは、分かりませんが、比較的容易に鼓膜形成手術が出来る大きさになるまで、我慢してお待ちになるのが、ベストチョイスだと思います。こんなことで、お答えになっているでしょうか。ご遠慮なくメールを下さい。

【感謝している次第です】貴重なご意見ほんとうにありがとうございました。結果ではありますが、アデノイドの手術の際、チュービングまでしない方がよかったのか?と少し後悔しています。耳栓をすると、周りの音・声が聞こえないので嫌がったり、楽しくないなどと親が勝手に想像し、悲しんでいる状況です。現実を理解し、先生の言われる通り、鼓膜形成手術は少し待って再度考えることにしました。このようにHPや電子メールで色々な情報提供やご意見を頂ける時代となったことを感謝している次第です。ほんとうにありがとうございました。