滲出性中耳炎について

【質問】小泉先生の「こどもの中耳炎について」を拝見しました。大変参考になる内容でした。このような情報が入手出来たことを感謝いたします。三人の子供がおりますが、上と二番目の子供が滲出性中耳炎と診断され、一週間に2回、半年以上も耳鼻科に通っています。この間、薬と毎回同じ治療(鼻の洗浄)をします。特別ひどいとも言われませんが、長くかかるとは言われています。本当にこんなに治療期間がかかるのでしょうか?

【回答】滲出性中耳炎は、何らかの原因(扁桃肥大・アデノイドや副鼻腔炎とかアレルギー性鼻炎など)で、耳管(耳と咽頭を繋いでいる管で、中耳腔への空気の出入りに関与している)の通りが悪くなった場合に、中耳腔への十分な空気の供給が出来なくなって中耳腔が陰圧になったために、中耳腔粘膜からリンパ液などが滲み出してきて中耳腔に溜まった状態を云います。

耳管咽頭口付近をきれいに保つことが肝腎です。耳管は普段は閉じた状態になっていますが、嚥下運動などにつれて耳管が開き、中耳腔と外界が交通して、圧の調整が行なわれます。上咽頭(鼻とのどの境)に鼻汁や分泌物があると耳管への空気の流入に支障が起こり、徐々に中耳腔が外界に対して陰圧になって行きます。この気圧の差がある程度以上になってしまうと、耳管が自然に開くことが無くなって、中耳腔はどんどん陰圧が進行して、ついには、滲出性中耳炎に進展して行きます。

耳管咽頭口付近をきれいに保ためには、鼻がつまっていれば(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などで)鼻をきれいにし、扁桃肥大・アデノイド(=咽頭扁桃とも云い、上咽頭にある扁桃腺と同じとリンパ組織)による耳管咽頭口の機械的圧迫や閉鎖などには手術(扁桃摘出やアデノイド切除)が必要な場合もあります。

お子さんの年齢が分かりませんので、一般的な話になりますが、上手に管理すれば6歳程度(時には7〜8歳)になれば、状況はかなり改善される筈です。

鼻の状態が大きなキーポイントですので、鼻汁か多かったり鼻がつまっているような場合には、油断は出来ません。現在の耳鼻科医とよく相談して、治療されることです。

【質問】一回の通院に2人で2000円から3000円治療費がかかり大変です。鼓膜に穴を空ける治療はしたくないと言われ、薬で治しましょうと言われています。

【回答】これは主治医の考え方(鼓膜切開やチュービングに積極的か消極的か)で大きく違うように見えますが、結果的にはあまり差が無いようです。

【質問】別の医院とも思いますが遠距離ですし、今のところも途中で通院を止めたら子供が心配ですので、ご相談させていたたきました。もし、出来ればアドバイス願えたら幸いと思いメールいたしました。

【回答】先程も申しましたが、鼻の状態が大きなキーポイントです。
鼻をいつもきれいにしておくことが大切です。

「こどもの中耳炎について」は、揖斐総合病院耳鼻咽喉科医長小泉光君が執筆者ですが、メールアドレスはホームページ管理者の小生になっておりますので、返信は小生が致しました。

【質問】解り安く、詳しい説明をしていただきありがとうございました。大変参考になりました。お返事をいただけると思っていませんでしたのでとても感謝しております。
子供の年齢は 5歳と 3歳です。わんぱく盛りの男の子です。いただいたアドバイスを参考に根気強く治療してまいります。今回は本当にありがとうございました。