6ヶ月乳児の中耳炎治療について

【質問】6ヶ月になる息子のことなのですが、生後3ヶ月の時に耳垂れがでて、耳鼻科で診察を受け、中耳炎ということで通院しているのですが、抗生剤を飲むと、ひどい下痢をして、下痢止めを処方してもらったのですが、下痢は治らず、何回か抗生剤を変えてもらっています。長い間、抗生剤を飲ませつづけて良いのか心配で、毎日の鼻処置とネブライザーだけで、左の耳だけが、いったん治ったのですが、また風邪を引いたときに再発して、今は両方の耳がなっています。薬を飲まないでいると、化膿して鼓膜がはれて鼓膜に針を突いてもらったことが、3回あります。滲出性中耳炎と化膿性中耳炎を繰り返しているようです。薬を飲みつづけて治るのかということと、長い間、抗生剤を乳児に飲ませつづけても大丈夫なのかということと、抗生剤を飲むとお尻が真っ赤になるほどの、ひどい下痢をするのがとても心配です。主治医の先生は、4ヶ月間抗生剤と鼻止めを出されています。小さい赤ちゃんだけに、毎日心配で心配で、悩んでいます。先生のご意見を聞かせて頂けませんでしょうか。宜しくお願い致します。

【回答】ご心配なことですね。私の感想を申し上げます。2週間以上同じ薬(抗生剤)を飲ませても無意味だという研究者も多いのですが、現場で患者さんに応対している者にとっては、これはとても難しいことです。初期の中耳炎は内服薬だけでよいという小児科医が最近は多くなっておりますが、何と言っても耳鼻科で鼓膜の状態を観察しながら、鼻の処置を適切に行っていくというのが耳鼻科医の信条です。

長期間抗生剤を使用することへの問題点は2つあります。1つは、その薬に細菌が慣れてしまう耐性菌の問題。もう1つは、その薬による身体への副作用の問題です。下痢も副作用の一つですが、ある種の抗生剤(テトラサイクリン系など)では、歯牙への沈着とか造血器への障害などが言われております。しかし、ペニシリン・セフェム系などは比較的安全ということになっております。小児科では、マクロライドを第一選択にする先生が多いようです。

お子さんの場合は、抗生剤による下痢も有るようですので、薬剤の選択は大変な問題だと思います。主治医の先生のご苦労が目に見えるようです。今どういう抗生剤を飲んでおられるのか分かりませんが、比較的安全で、下痢の少ない薬剤を選ばれていると思います。

何時まで、抗生剤を飲ませて、何処で再開するか。サジ加減が難しいところだと思います。主治医の先生とよくご相談になり、根気良く鼻の治療を続けられることをお勧めします。

(文責:渡辺耳鼻咽喉科 渡邉忠彦)