6歳の息子の滲出性中耳炎について

【質問】はじめてお便りいたします。貴殿のホームページ見させて頂きました。私には6歳の息子がおりまして、その彼が滲出性中耳炎と診断されており、かねてより外来治療を受けております。1歳から2歳に喘息がひどく、この頃は入院を年7回も経験しましたが、4歳頃より時々中耳炎を繰り返すようになりました。はじめは町の開業医にかかりましたが、3ヶ月近く毎日通っても完治しないため、総合病院の耳鼻科に通院するようになった5歳の頃に、滲出性中耳炎と診断されました。その頃の診断では、アデノイドが通常の子供より大きいとのことでアデノイドの切除手術を医師に勧められましたが、私達夫婦が難色を示したため、抗生物質での治療に切り替えてもらい、1ヶ月ほどして通院しなくてよくなりました。ところが6歳になり、最近また中耳炎を起こし、通院しておりますが、右が治れば、今度は左、左が治るまえに今度は右と、また繰り返し出したところ、医師よりチュービングの手術も必要と言われ、先日レントゲンを取るところまで行きました。レントゲンの結果はまだ聞いておりませんが、医師より手術か投薬かの判断がされるものと思います。

【回答】状況はわかりました。レントゲンはアデノイドの大きさを知るためと副鼻腔炎の状況の判断のためかと思います。未だに中耳炎を繰り返しているのは、アデノイドが大きいためと思います。鼻咽腔(鼻とのどの間・上咽頭ともいいます)にアデノイドの占める領域が大きくて、充分な空間が確保できないので、ちょっとかぜを引くだけで中耳炎に進展してしまうのだと思います。耳管(耳とのどをつないでいる管)の通気性が充分に確保できないのです。

【質問】医師より手術が必要と判断されてもまだ小さな子供ですので、大きくなればその出術も不用だったね!というような気がしてなりません。また、5歳の頃より引っ越しをしており、前回投薬で乗切って頂いた医師のいる病院と違うところに通院しており、本当に手術が必要かどうかの判断もつけにくくなっております。

【回答】確かに、ご両親がおっしゃるようなことも有り得ることではありますが、6歳になった今も中耳炎を繰り返しているというのは、かなりアデノイドが大きいという事ですので、扁桃・アデノイドの手術と共にチュービングをするのが良いように思います。

【質問】子供を見ていますと中耳炎を起こしても少しは耳が聞こえにくいようですが、重度の滲出性中耳炎とは親からは見えず、その必要はないように思えます。この判断をつけるための判断材料をアドバイスして頂ければ幸いです。

【回答】積極的治療としては先述のように手術ですが、消極的には現在のままの保存的治療を続けて経過を見る事も一つの選択肢とは思います。この場合は鼓膜癒着などの後遺症を残さないように細心の注意が必要です。毎日とは申しませんが週1〜2回の通院が必要です。少なくとも2〜3年間の経過観察を要するものと覚悟を決めてください。

【質問】今も小児喘息は完治しておりませんので、風邪などをひくとひどくせき込みます。これも中耳炎の引き金になっているのかなと思ったりしております。

【回答】喘息が続いている場合は、非常に厄介ですので、根気よく治療される事が大切だと思います。担当の先生とよくご相談下さい。診察をしていませんので、お話からはこの程度のことしか言えません。

【質問】昨日は早急なるご返答ありがとうございました。今日レントゲンの結果を聞くことと吸入をして頂きに耳鼻科に行って参りました。診察の結果、前回(3日前)の診察の結果にくらべ耳の状態も良く、またレントゲンの結果アデノイドの肥大もそれほどでもないと言って頂けました。息子を見て頂いている先生に対しては、メールでご説明頂いた内容とホームページの記述内容から親としても多少なりとも知識を持つことができましたので、冷静に質問できました。
 結果的には、息子の回復の程度が予想より良く、お医者様からも「手術の必要はないでしょう」との回答を頂けました。お医者様のお話では治療を3ヶ月程度行い、改善が見られない場合は手術を勧めますが、私の息子の場合治療の結果改善が見られるので、通院で様子を見ることにしましょうと言って頂けました。なお、私の息子の場合、持病として小児喘息を持っていますが、小さい子供の場合は手術の際にはどうしても全身麻酔が必要で、気管に管を入れて麻酔をかけるので、お医者様は小児喘息の子供には手術を勧めたくないとも言っておられました。
 以上のように、岐阜県耳鼻咽喉科医会様にメールにてご教授頂いた結果、親としても安心材料を持つことができ、先生に対して冷静に正しい親としての意見を言うことができました。本当にありがとうございました。親が中途半端に医学的知識を持ち、お医者様に生意気な意見を言うものではないとも思いますが、息子の手術など家族の健康に対して責任と的確な判断ができる知識を持つ必要もあるとも思いますので、貴殿のホームページのように見ず知らずの者にも丁寧なご説明をして頂けることに本当に感謝しております。本当にありがとうございました。