急性中耳炎を繰り返す3歳5ヶ月の女児

【質問】現在3歳5ヶ月の女児です。2006gの未熟児で産まれたせいか、生後1ヶ月で初めての急性中耳炎を体験してから今まで数十回繰り返していて、寒い季節においては2週間に一度は鼓膜が破れ、血のまじった膿が出ています。今まで大学病院、国立病院、町医者にといろいろな先生にお世話になりましたが、同じ薬しかだしてくれず成長を待ちなさいとおっしゃる先生や、強い抗生物質を飲まし続ける先生など、なかなか納得できる先生と会えずにいます。3年以上抗生物質を飲まない日は無いくらい続けていますが、そのことが非常に心配で、また薬を飲んでも中耳炎にかかってしまうことに疑問を感じています。今では冷やしても、痛み止めを飲ませても、しょっちゅう夜中中絶叫泣きする娘を目の前になにもしてあげることが出来ず、親として非常に悩んでいます。チュ―ビングという線も考えていますが、積極的にその方向で進めていくべきでしょうか? アドバイスお願いします。

【回答】何ともご心配なことですね。ちょっと言葉が無いのですが、と申しますのは、状況が把握しかねるからです。
先ずお伺いしたいのは、

風邪を引きやすいのだと思いますが、どのように管理されていますか。大事にし過ぎていませんか。

【質問】今まで数十回繰り返していて 寒い季節においては 2週間に一度は鼓膜が破れ、血のまじった膿が出ています。

【回答】自壊して膿が出るまで何も処置はしていないのですか。簡単に膿が出るようになるのは、鼓膜に穿孔があるのでしょうか。

【質問】今では冷やしても痛み止めを飲ませてもしょっちゅう夜中中絶叫泣きする娘を目の前になにもしてあげることが出来ず親として非常に悩んでいます。

【回答】激しい耳通がおこるのは、感染で耳管が閉塞して中耳腔内圧が急上昇するためですから、鼓膜には穿孔などは無いのでしょうね。

【質問】チュ―ビングという線も考えていますが積極的にその方向で進めていくべきでしょうか? アドバイスお願いします。

【回答】チュービングを勧められておられるようですので、やはり鼓膜穿孔は無いのでしょうね。そうすると、「2週間に一度は鼓膜が破れ、血のまじった膿が出ています」と、おっしゃることが理解できません。どうしてだろうと思ってしまいます。

チユービング」は、ご存知のように、鼓膜に小さな穴をあけておくことと同じですから、減圧弁の働きをしてくれるので、激しい耳通が起こることは無くなりますが、外(外耳道)からの感染の危険が多くなるという面もあります。

【質問】3年以上抗生物質を飲まない日は無いくらい続けていますが、そのことが非常に心配で、また、薬を飲んでも中耳炎にかかってしまうことに疑問を感じています。今では冷やしても、痛み止めを飲ませても、しょっちゅう夜中中絶叫泣きする娘を目の前になにもしてあげることが出来ず、親として非常に悩んでいます。

【回答】これに関して、私の率直な感想を申し上げておきます。「抗生物質」だけで、中耳炎を防ぐことは出来ません。中耳内圧の調整がいつも円滑に行われていなければなりませんが、これには耳管の状態が大きく関与しています。また、それに影響を与えているのが、耳管咽頭口のある鼻咽腔(鼻とのどの間の空間)の状況であり、鼻副鼻腔の状況です。いつも鼻が良く通っていなければなならないということです。

また、「夜中中絶叫泣きする」というのは、親の心理状態がお子さんに反映しているように思えてなりません。普段の健康管理が大切ですが、大事にし過ぎても良くないと思います。以上が、メールを拝見した感想です。あまりお役に立たないかもしれませんが。

【質問】早急なお返事、ありがとうございました。こんなに早くお返事をいただけるとは思っていなかったので正直、びっくりしました。

【回答】出来るだけ早くお返事するように心掛けてはおりますが、内容によっては時間が掛かる場合もあります。

【質問】鼻はいつもつまった感じで、3歳になった今では言葉も鼻詰まりのしゃべり方で慣れてしまっているようです。アトピー、喘息はありませんし、耳以外異常はなく、体格もよく熱も出しにくい元気な子供です。鼓膜は1週間に2度耳鼻科の先生にみていただいてますが、「大丈夫です、鼓膜は変な色してません」っていわれた日でも、夜中に痛がり明け方膿がでることもあり、耳痛は突然起こるようです。

【回答】これは、私自身も時々経験することです。「鼓膜もきれいだし心配なさそうだね」といって帰した翌日、「先生、昨夜は耳を痛がって困りました。今朝膿が出ています。」とお母さんに言われて、頭を抱えるのですが、如何考えても、昨日の耳の状態、鼻の状態などからは思いもよらない事態です。如何してだろうか、何を見落としたんだろうかと、いろいろと考えてみるのですが、未だに解決できておりません。

【質問】二人目の子供(次女)のため、特に大事にし過ぎているつもりはありませんし、生後2ヶ月から保育園にいれてますのでべったり・・・ということもないです。ただ、集団生活もこういう子供には(中耳炎を繰り返す子)向いてないようですが・・・。風邪をひかせないようにだけは気をつかっています。でも着すぎるのは避け、けっこう薄着で育ててます。

【回答】私も何箇所かの保育所の嘱託医をしておりますので、0歳児から5歳児までの保育所の子供達を診る機会もあります。当然の事ながら、保育所などでは、最大公約数的に、保育しますので、母親の育て方とは微妙に違いが出ます。その所為だと自分では思い込んでおりますが、2〜3歳児は洟垂れさんが非常に多いのです。しかし、年齢を重ねるに従って、洟垂れさんはだんだんと少なくなって行きます。小学校でも同じで、高学年になるにつれて、少なくなります。

【質問】夜中に突然痛がるため、自壊して膿が出るまで痛み止めの座薬をいれたり、時間差でバファリンを飲ませる以外切開等はあまりしてません。4〜5時間絶叫した後、明け方に「・・・あ、今耳 破けたみたい・・・耳痛くなくなったよ・・・」という子供の言葉で眠りにつき、少したつと耳から黄色い膿が出てくる・・・といった状態です。

【回答】心理的なものではなくて、全く物理的な耳痛だったのですね。

【質問】やはり、うちの子の場合、耳だけが問題ではなく鼻も問題なのでしょうか。チュ―ビングの手術の際、アデノイドの手術も同時に行った方がいいのでしょうか? アデノイド・・・というのが、いまいちよくわかりません。これは手術することによって食事をとるのでさえも痛い術後が待ってるのでしょうか・・???

【回答】鼻詰まり声(−閉鎖性鼻声といいます−)だけで鼻汁などが無ければ、鼻には異常が無く、原因はアデノイド(−鼻と咽頭との間に有るリンパ組織で咽頭扁桃ともいいます−)のせいでしょうね。アデノイドが大きい(アデノイド増殖症)と、鼻咽腔(鼻と咽頭との間の空間)が狭くなり、耳管咽頭口を圧迫して耳への空気の出入りが妨げられたり、アデノイドの炎症が耳管内に波及したりして、中耳炎を起こし易くなります。

 アデノイドの手術とチュービングを同時にすることが多いようです。残念ながら、私はアデノイドだけを手術した経験が無いものですから、はっきりは申し上げられませんが、場所が鼻の奥ですし、嚥下に関与する筋肉にも全く侵襲が及びませんので、「食事をとるのでさえも痛い術後が待ってる」ということは無いと思います。

 扁桃腺・アデノイドの手術の後、子供の場合は、翌日から以外に平気な顔をしていて、辛いものは少ししみますが、アイスクリームを食べたりしているのが普通です。アデノイドの手術は、扁桃腺のようにカプセルごと摘出することは出来ませんので、大きく突出している部分だけをこそげ落とすように切除します。

【質問】なんだか 失礼すぎるほどの ストレートな表現ばかりになってしまいました。申し訳ありません。今の子供の状態をお伝えしたくて、熱くなってしまいました。

【回答】お答えになっているかどうか分かりません。お聞きになりたいことをストレートに言っていただいた方が良いと思っております。

【質問】いろいろとたくさんのアドバイスをいただき、ありがとうございました。相談させて頂き、少し気持ちが楽になりました。といいますのは、今お世話になっている耳鼻科の先生は1年半くらいのおつきあいとなりますが、処方箋をみると国立小児病院で出されていた薬と同じものとか、いろいろ状態をみて出していただいてたので、セフスパン等ずーーーーーっと同じ薬を飲ませ続けるお医者様より信頼できると思って、お世話になっているのですが、とてもプライドの高い方で、少しでもこちらの意見や質問が気にさわると怒ってしまうので、コミュニケーションをとるのが難しいのです・・・。それで誰に相談すればいいのか日々悩んでいた所、先生を知ったのでご相談させていただいたわけです。本当にありがとうございました。とても心強く思いました。これからも何かありましたら、よろしくお願いいたします。

【回答】お礼状を頂きまして、有り難うございました。私も気難しい方の代表かと思っておりますが、せっかくメールを頂いたのだからと思って出来るだけ早くお返事をするようにしております。しかし、返信に対して、有り難うを言っていただける方は少ないのです。いつも悲しく思って居りました。何かのお役に立つことが出来ればと思っておりますので、また何か有りましたら、お気軽にメールを下さい。すぐにとは行かないことも有りますが。